2023年2月10日、SONYから新Gレンズ「SEL2070G」が発売されました。
私はコーギー犬を2匹飼っているのですが、より軽くて広角の広いレンズが欲しいと思い、発売日翌日に実店舗で試し撮りをした結果、購入することにしました。
今回の記事ではSEL2070Gをペット動画撮影のために買った理由や使ってみた感想、性能が近いSEL24105Gとの使用感の違いや実際に撮影した動画(只今準備中)をご紹介しますので、これからペット撮影に本レンズを検討したいという方の参考になれば幸いです。
Contents
ペット動画にSEL2070Gを買った4つの理由
私がペット動画撮影用にSEL2070Gを購入した理由は以下の通りです。
- 軽さ
- 広角
- ズームができる
- F4の適度な明るさ、ボケ感
それぞれ1つずつ見ていきます。
ペットVlogに欠かせない軽さ
SEL2070Gの重量はカタログ値で488gと、SONY純正のズームレンズとしては従来機種に比べても非常に軽い仕様となっています。
ペット動画や日常のVlogを撮影するために以前はSEL24105Gを愛用していたのですが、
- 1時間半~2時間の散歩中に首からぶら下げておくにはやや重い
- 日常のちょっとしたシーンを撮る際にも重さが気になる
と、総じて「もう少し軽ければ…」と感じることが少なからずありました。
SEL24105Gの重さは663g、それと比較しても本レンズは175g軽いということで、初めて手にした際は片手でひょいっと持ち上がる感覚にとても感動したのを覚えています。
もちろん、SEL2070Gに変更してからはストラップで首や肩が凝ったり、撮影中に腕が疲れることもなくなり、より気軽に愛犬の撮影に集中することができるようになりました。
ちなみに、カメラ本体はα7ivを愛用しており、バッテリーとSDカードを含めた本機の658gと合わせて約1,146gです。
男性であれば右手一本でも余裕を持って取り回しが効くギリギリの重さであり、やはり「軽さは正義」を改めて実感しています。
20mmという広角の使い勝手が良い
SEL2070Gは広角側が20mmスタートのレンズですが、通常の人物撮影ではなく、動き回るペットにカメラを向けることがほとんどの私にとって、20mmという通常より広めの画角は非常に重宝します。
撮影時は急な動きにも対応できるよう広めに撮って、後からクロップ編集することが多いです。
また、α7ivには「アクティブ手振れ補正」モードが搭載されており、これを利用すると1.17倍にクロップされます。
つまり、SEL24105Gなど24mmスタートのレンズであれば、約28mm相当となり、
- より広く撮って後から編集したい
- ペットのように縦横無尽に動き回る対象物を撮りたい
という使用用途には、必ずしも理想的とは言えない状況でした。
ですが、20mmスタートのレンズであれば、クロップしても23.4mm相当の画角を確保することができます。さらに、ドッグカフェなどスペースが限られた場所での撮影時には、通常の手振れモードにすることで、20mmの広々とした画角でゆったりと撮影することもできます。
これによって、今まで感じていた画角に対する不満は一気に解消されました。
SEL20F18Gも所有していますが、出先で何本もレンズを持ち運びたくない私にとっては非常に使い勝手の良いレンズと言えます。
ペット撮影にズーム機能は必須
個人的に、犬など動きを伴うペット撮影にはズーム機能が必須だと感じています。
- 散歩中の様子
- ドッグランで他の犬と遊ぶ様子を撮影する際など
犬はどうしてもあちこち駆け回りながら遊ぶので、単焦点レンズで手振れを気にしつつ逐一後を追いかけるのは非常に骨の折れる作業です。
自宅で撮影する際も、私の愛犬は近くでカメラを向けると目をそらしてしまうことが多く、また、かわいい寝顔を撮るために近づくと目を覚ましてしまうこともあるため、やはり日常の自然なペットの様子を撮影する場合には遠目からズームして撮るのがベターと言えます。
さらに、寄り引きを交互に織り交ぜたいときにも、ズームで即座に画面範囲を変えられるのも大変便利です。
したがって、周囲が暗いときやボケ味が必要なときはSEL24F14GM、SEL20F18Gなどの単焦点を使い、それ以外ではほとんどのシーンで撮影用途の広いSEL2070Gを使用するようにしています。
F4通しの適度な明るさとボケ味
SEL2070Gは広角端から望遠端までF4通しで撮影できる小三元レンズです。
通常のペットVlogでは全編通して極端なボケ味があると逆に不自然で、その意味でいえばF4というボケ感が最も心地よく使用することができ、適度に背景も映り込んだ自然な日常を撮影するのにとても適していると感じています。
また、ズーム倍率が上がるごとにF値が変化するレンズではないので、1つのシーンでズーミングを使用し、2匹の犬を交互に撮影する際にも明るさを変化させずに追うことができます。
ただし、F4は決して明るいレンズではないため、曇りの日の室内や夜の寝室で寝ている愛犬の姿を撮影するなどにはやはり向きません。
撮れないことはないものの、ISO感度が極端に上がってしまい映像にノイズが乗る場合もあるので、適切に照明を活用することが必要となります。
ペット動画を撮影したサンプル
→準備中
アクティブ手振れ補正との相性
SEL2070Gとα7ivのアクティブ手振れ補正との相性ですが、iPhoneやGoProなどのアクションカムとは比較にならないものの、一般的なペットVlog撮影をする程度であれば十分使用できるレベルかと思います。
ただし、走ったり雪道をドカドカ歩くなどのシチュエーションではまったく使い物にならず、特に歩行中に起こりやすい回転ブレに関しては、その他の純正レンズと比較しても特別優れているという印象はありません。
縦ブレ横ブレに関しては許容範囲に思えますが、これは20mmという通常よりも広角側が広いことに起因するものと考えられます。
ちなみに、これまでSEL24105Gの他にも、
- SEL20F18G
- SEL24F14GM
- SEL24F28G
の3本の広角単焦点レンズも購入して試してきましたが、SEL2070Gだけが突出して手振れが優秀かと問われれば個人的には疑問です。
カメラ系YouTuberの中には、従来の純正レンズと比べSEL2070Gの手振れが優秀とレビューしている方もいらっしゃいますが、それはあくまで広角側が広いという理由があるからで、ここを過度に期待はくれぐれも厳禁です。
ですが、手振れ補正搭載のSEL24105Gと比較してもさほど大きな違いが感じられないということは、手振れ非搭載のSEL2070Gは優秀であるともいえるのかもしれません。
いずれにせよ、SONYの手振れ補正弱い問題に関しては、レンズよりも本体側にまだまだ改善の余地があるのかなと…。
SEL2070G 3つのデメリット
主にペット動画の撮影にSEL2070Gを使用している筆者ですが、私が実際に使ってみて感じた本レンズのデメリットもご紹介します。
主なデメリットは以下の通り。
- ズームリングが軽い
- フィルター経72mmが中途半端
- 70mmが少し物足りない
あくまで個人的な所感ですが、それぞれ説明していきます。
1.動画撮影にはズームリングが軽すぎる
上述のとおりペット撮影にはズーム機能を多用する筆者ですが、今までSEL24105Gを愛用していた感覚からすると、SEL2070Gのズームリングはスカスカで軽すぎるという印象があります。
写真撮影時には軽い力でサっと広角側・望遠側にアクセスできとても便利ですが、動画撮影時に素早くズーミングしたいとき、勢い余って止めどころがわからなくなることがあります。
SEL24105Gの若干重たいズームリングに慣れているせいもあるかと思いますが、Vlogに最適なレンズとして売り出すならもう少し重めに設定、もしくはSEL2470GMⅡのようにズーム操作感切り替えスイッチがあればなお良かったのになと感じてしまいます。
イメージ的にはタムロンの28200mmのズームリングよりもう気持ち軽いかなといった印象です。
2.フィルター経72mm用が中途半端
SEL2070Gはフィルター経が72mmですが、SEL24105Gとフィルター経が異なるため、各種フィルター類をいくつか新たに買い足す必要がありました。
屋外での動画撮影にはNDフィルターが必須で、私はNiSiの可変タイプを愛用しているのですが、1枚2万円が飛んでいくと考えると決して少なくない出費です。
また、ペットを悲しげに撮りたいシーンや映画のような雰囲気で撮影したいシーンではブラックミストフィルターを活用することもあり、専用経のものを揃えるにはさらに追加で1万円強の費用がかかります。
大きめのフィルターを1枚買って、ステップアップリングを使用すれば解消する問題ではあるのですが、不格好になるのが嫌なのと、できれば他の単焦点レンズと流用できるよう「67mm」で統一してくれると良かったなというのが率直な感想です。
3.望遠端70mmが少し物足りない
これもSEL24105Gに慣れ親しんでいたせいではあるのですが、最大望遠端が70mmというのはやはり物足りなさを感じることがあります。
自宅で撮影する分には問題ありませんが、ドッグランなどで走り回る愛犬を撮る際には70mmだとまったく足りず、クロップしても105mmなので結局別のレンズを持っていくことになります。
全画素超解像ズームを使用すればさらに寄ることも可能ですが、多少画質が劣化してしまうのと、動物瞳オートフォーカスが効かなくなってしまいます。特に走っているシーンではピンとずれが多発するため、超解像ズームはアクティブに動くペット撮影にはあまり向いていません。
SEL24105Gの望遠端105mmをクロップすると約157mm相当ですが、最低限このくらいの焦点距離がないと屋外撮影では役不足なことが多いかもしれません。
SEL2070Gを買った方が良い人
ここまでペット動画撮影のためにSEL2070Gを購入し、使ってみた率直な感想などを挙げてきましたが、上述の通り「ズームリングが軽すぎる」「フィルター経72mmはレンズフィルターの流用がしにくい」「望遠70mmが物足りない」というデメリットが気にならない人なら購入するメリットはあるかなと思います。
特に、SEL2070Gを買った方が良い人は、
- 初めて標準ズームレンズを購入したい
- アクティブに動くペットの動画撮影がしたい
- 1本のレンズでオールラウンドに使いたい
- 夜や暗い場所で使用する用途がない
上記の特徴に当てはまる方であれば、購入すると非常に使い勝手の良いレンズになるかと思います。
他社製レンズであればもっと安く入手できるものもありますが、犬など大きな動きが伴う被写体を撮影する場合にはオートフォーカス性能の面でほとんど使い物になりません。
(例えば、犬がカメラに向かって走ってくるシーンでは、かなりの確率でピントを外します)
その点、SEL2070Gは犬など動きのある動物を撮影する際にもオートフォーカスが外れることがほとんどなく、安心してカメラ任せで流し撮りすることが可能です。この辺はさすが純正レンズといった感じですね。
そして「軽い」「広角」「ズームできる」「F4通しで適度なボケ感」といった動画撮影には特にメリットの多い仕様となっていますので、これらに魅力を感じる人は迷わず購入を決断することをオススメします。
まとめ
今回はSEL2070Gを購入し、ペット動画撮影に使ってみた感想をまとめてみました。
総じて本レンズは使いやすく、さまざまな場面で使える使用用途の広さに加え、SONY純正のGレンズとしては圧倒的な軽さが何よりも魅力の一本です。
手ブレ精度は従来機種から飛躍して向上しているわけではないものの、20mmという非常に広い画角と適度に寄り引きできるズーミング性能、F4でありながら綺麗にボケる明るさを持っており、今ではペット撮影におけるさまざまなシーンで活躍してくれています。
「ペットを撮りたいけど、どのレンズを買おうか迷っている」
「初心者でも扱いやすいレンズが欲しい」
「とにかく軽さを重視して、さらにズーム機能も欲しい」
という方は、ぜひSEL2070Gを検討してみてはいかがでしょうか。